登場人物
- れんと:7歳の少年。キッズレースに参戦する主人公
- ベロヂス:伝説のレーサー「Tartaruga Sônica」の本名
- ルース:最速のチャンピオン。ベロヂスに敗れ後に引退
- トラベッソーラ:過去の大物スポンサー
第10話「本物の伝説」
表彰式の壇上でトロフィーを手にしたれんとは、観客席のベロヂスに向かって力強く拳を突き上げた。
れんと「ベロヂスさん!ありがとうございました!」
その姿を見たベロヂスの妻が、そっと隣で微笑む。
妻「あなた……ようやく戻ってこれたのね」
ベロヂス「……そうだな。これが、俺の最後のレースかもしれん」
妻「でも、あなたの“走り”は、彼の中にちゃんと息づいているわ」
表彰式後、インタビューに答えるれんと。
記者「れんと選手、素晴らしい走りでした! この勝利の秘訣は?」
れんと「僕には、最高のコーチがついてくれてましたから!」
記者「コーチの名前は?」
れんと「……Tartaruga Sônicaです!」
どよめく観客席。次の瞬間、ベロヂスが観客席を抜けてステージに上がる。
ベロヂス「……俺の名前はベロヂス。Tartaruga Sônicaは、もう一人の俺だ」
マイクを受け取り、彼は静かに語る。
ベロヂス「俺は、一度は逃げ出した。ただの“ピエロ”だった。でもこの少年に出会って、ようやく理解したんだ。伝説なんて、他人が作るもんじゃない。自分の足で刻むもんだってな」
観客から拍手が巻き起こる。その音に包まれながら、れんとは再び叫ぶ。
れんと「ぼく、これからも走り続けます!ベロヂスさんと一緒に!」
ベロヂス「おう。お前が望む限り、ずっとな」
こうして、かつての伝説は、次の時代へと確かに継承されたのだった。
【完】
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