Tartaruga Sônica história – 第0話「伝説の真実」

登場人物
・伝説のレーサー『ベロヂス』
・最速のチャンピオン『ルース』
・大物スポンサー『トラベッソーラ』

ベロヂスは、Tartarugaクラスでデビューした最も遅いレーサー。
勝利経験はなく、引退を考えていた矢先、思わぬチャンスが訪れた。
それは、最速のCoelhosクラスで無敗を誇るチャンピオン「ルース」との一騎打ち。
仕掛けたのは、大物スポンサーのトラベッソーラ。彼はベロヂスに賞金10,000ユールを提示し、勝てばスポンサー契約もするという破格の条件を突きつけた。

ベロヂスはその条件を受け入れる。
敗北すれば強制引退、トラベッソーラ社の雑用係として余生を過ごすというリスクも背負っていた。

一方ルースは、格下とのレースを不服としつつも、「これはショーだ」と割り切って挑む。レース中盤、圧倒的なリードを築いた彼は、パフォーマンスの一環としてピットインして休憩、そして…仮眠をとった。

女性スタッフに”10分後に起こせ”と命じたルースだったが、女性スタッフは起こさず15分が経過。慌てて再スタートしたルースは、取り返しのつかない5分差をつけられ、敗北。

怒号を上げるルースに女性スタッフは冷静に答えた。
「ルール上、あなたを起こす義務はない。そして仮に10分後に起きていても、あなたのタイムは及びませんでした」

結果は、ベロヂス 40分02秒、ルース 45分13秒。
勝利したベロヂスは、喜びよりも虚しさを感じていた。
“こんな勝ち方なら、堂々と負けて引退した方がよかったかもしれない…”

彼はレース後すぐに引退を宣言。
賞金を受け取り、世間から姿を消し、スタッフだった女性と静かに暮らすことを選んだ。

ルースは屈辱のレースを境に酒に溺れ、事故を起こして命を落とした。
トラベッソーラは全てを隠蔽し、ベロヂスを“音速の亀=Tartaruga Sônica”という伝説に仕立て上げて、自らの損失を回収しようと画策した。

──そして今。

「私は、ある少年レーサーのコーチをしている。その少年が登り詰めた時、すべてが明らかになるかもしれない」

かつて“伝説”となった男は、今は静かに、次世代の伝説を育てている。
Tartaruga Sônicaの物語は、まだ終わっていない。

──続きは第1話へ。

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